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Seasons Flow

8月のお盆を過ぎると、夏は秋に向けて坂を転がり始める。

その動きは最初はゆっくりで、時には後戻りしているように思うときもあるが、着実だ。

知らないうちに、あれほど力強かった太陽の日差しが細くなっていることに気づく。朝晩があれ?と思うほど涼しくなる。

そんな変化の兆しを花々は敏感に感じ取っている。8月中旬を過ぎると伊吹山にはサラシナショウマやイブキトリカブト、アキノキリンソウなど秋の花が咲き始める。

最初の内は、まだまわりに夏の濃い緑が残っているため何か場違いな雰囲気がある。

でも、9月に入り、まわりの緑に黄色みが増してくると、彼らが主役に立つときとなる。

透明度を増した光が彼らを照らし、いっそう輝かせる。

秋は空気が澄んだ日も多い一方で、秋の霧は深いように思う。

薄暗い霧の中に雫をまとった花たちが佇む姿はなんとも幻想的だ。

10月を迎えると花はめっきり少なくなる。山を超える風がなんとも寂しい。

夏の主役だったシシウドは枯れた茎を残すのみとなり、ひと月前に主役だったアキノキリンソウは綿毛になっている。

そんな中、最後を飾る花はリュウノウギクだ。すっかり枯草色になった草原のところどころに集まって咲いている。白い花は迎えくる冬を思わせる。

こうして伊吹山の秋は終わりを告げる。

 

秋編では、初秋、中秋、晩秋の三部に分けて構成した。

夏編はいわば天候別の構成だったが、秋は同じ花でも時期によって印象が異なると思ったためだ。

これは花を取り囲むまわりの変化が大きいと言ったほうがいいかもしれない。初秋はまわりがまだ濃い緑色だが、中秋、晩秋となるにつれて黄色みが濃くなる。それに連れて、同じ花でも印象が異なってくる。

むろん、秋も天候によってがらっと印象が変わるので、そこも織り交ぜながら紹介できるよう心がけた。

 

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